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   「経済学はビジネスの武器だ」創刊準備号        平成15(2003)年 1月19日
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                     ◇◇◇◇◇ はじめまして ◇◇◇◇◇
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    ┏━━┓    はじめまして、相変わらず寒いですがお元気ですか?
    ┃\/┃    管理人のSunと申します。よろしくお願いします。
    ┗━━┛

    少し自己紹介をさせていただきます。私は、今まで大学で経済学の専門科目
  講義を担当したり、海外の経済学部大学院で研究を行ったり、また、海外の国
  際機関でエコノミストとして勤務したりしてきました。
    
    しかし、最近の経済状況をめぐる、いわゆる「市場原理主義者」と呼ばれる
  人々や、一部の当局・審議会などによるご都合主義的、我田引水的言論にいさ
  さか腹が立ち、微力ですがまともな経済学の知識や思考方法をお知らせするこ
  とができればと考え、「ビジネスの武器としての経済学」というサイトを立ち
  上げました。
    
   そして今回、念願のメールマガジンを「経済学はビジネスの武器だ」と銘打っ
  てお送りいたします。
  
    実は、ある官庁に勤務して、白書の執筆に携わるなどしまして、いわゆる官
  庁エコノミストの末席に連なっております。しかし、実名を明かしてしまって
  は、特に現在の当局の経済政策に関して批判的な発言ができません。そこで匿
  名で失礼しますがお許しください。
    
    また、このメールマガジンやサイトに関してご意見があればお気軽にメール
  でお知らせください。メールマガジン上でできる限りお答えしたいと思います。
  
   それでは、創刊準備号に入ります。では、しばらくの間お付き合いください。

 
                                                管理人Sun
                                                平成15(2003)年 1月19日

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     ◆◇  もくじ
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    □ 今回のテーマ「市場メカニズムと新古典派経済学」
    □ 便利なサイト情報「野口悠紀雄Online」
    □ 編集後記-「ほっと一息」

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     ◆◇  今回のテーマ「市場メカニズムと新古典派経済学」
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  ○金持ちのための経済学?
   競争の促進や規制の緩和に反対する立場の人々から、金持ちに都合がいい経
  済学だとして批判をされる新古典派経済学は、現在の経済学の基礎をなす考え
  方です。

   この新古典派経済学の内容は、これからこのメールマガジンで少しずつ紹介
  していきますが、簡単にいうと、「個々人が経済的に合理的な行動を取りなが
  ら、自分の利益を追求すると、市場メカニズムが個人の行動や社会全体を調整
  し、結果的に社会全体が効率的な状態になる。」という考え方です。ここで深
  入りするのはまだやめておきますが、ちょっと考えてもずいぶん楽観的だなあ
  と感じられるに違いありません。もっとも、いかなる立場を取る経済学者(も
  ちろんマルクス経済の立場に立つ人々はここでは考えないことにします。)も、
  この新古典派経済学によって定義された「市場メカニズム」の役割を、経済学
  的な考え方の基本となるものとして尊重しています。
  
  ○市場メカニズムとは何か?
   このように、新古典派経済学の中心となる考え方が市場メカニズムというこ
  とになるのですが、では、市場メカニズムとはどういったものなのでしょうか。
  
   さて、少しお詫びをしなければなりませんが、先ほどお話ししましたように、
  このメールマガジンでは、具体的なトピックスから順を追って抽象的な概念へ
  とたどっていきます。ところがやはり、「市場メカニズム」については、取り
  あえずその大まかな意味合いを簡単に説明してからではないと少し具合が悪い
  のです。なぜなら、このような発想は経済学以外には似たようなものがないか
  らなのです。

   そこでまず、「市場メカニズム」がどういうものであるか、簡単に説明して
  みましょう。

   経済学を勉強したことのある皆さんは、教科書の最初の方に出てくる「需要
  と供給の直線が一つに交わる点の価格と数量で品物が売り買いされるグラフ」
  を思い出されるでしょう。そのグラフを言葉で説明するとこのようになります。
  
  
  ・ある品物が市場(意味は「いちば」と同じですが経済学では「しじょう」と
  読みます。)で人気があれば、よく売れて品薄になりその価格が上昇します。

  ・価格が上昇すれば買い手からの需要は減ります。
  一方で、売り手側にとっては取引が有利になるのでその品物の生産や出荷を増
  やします。

  ・その結果、買い手が減り、売り手が増えることから、品物の不足が解消され
  ます。

  ・品不足が解消したので今度は逆に価格が下落の方向に向かうことになります。
  
   逆に、ある品物が不人気の場合には、その品物の価格が下落し、その結果、
  売り手は減り、買い手が増えるという逆の現象が起きて結果的には品物のだぶ
  つきが解消されることになります。

   このように品物の過不足は価格の上昇下降を引き起こし、その価格の変動は
  売り手と買い手の動きに影響を与えて、品物の過不足がうまく解決されること
  になります。

   このように価格が複雑な資源配分の機能を果たすことを「市場メカニズム」
  が働くといいます。
  
   まず、ここでお話しした説明をしっかり頭に入れておいてください。市場メ
  カニズムに関するエッセンスはこれで当分の間十分です。つまり一言でいえば、
  「値段の上がり下がりが売り手と買い手の動きを左右する」ということです。
    
  ○市場メカニズムがうまく働かない場合
   以上の説明は、とても解りやすく、きれいな説明ですし、実際に、市場メカ
  ニズムは、メカニズムがきちんと動作すればこの通りに働きます。この理屈に
  反対する人はいないと思います。

   しかし大変残念なことに、(1)こういった形で市場メカニズムが常に働くため
  には、ここで簡単に説明した以上にたくさんのとても厳しい条件が必要になっ
  てくるのです。(完全競争の問題)

   そして、その上に、(2)市場メカニズムが完璧に働いたとしても、それは品物
  の売り買い自体はうまくいくものの売り手と買い手が共に特に金銭的な儲けに
  満足できるようなことになるかどうかは全く保証されないのです。(所得配分
  の問題)

   最後に、もっと面倒なことには、(3)ある種の品物には今お話しした意味での
  「市場」が成り立たないのです。(外部経済、私有権、先物市場などの問題)
  
   さらに、マクロ経済学に詳しい人ならば(4)品物の価格は上がることは簡単だ
  が、なかなか下がらない(価格の下方硬直性)という問題もあることに気が付
  くことでしょう。

   この点に関しては、先ほどの(1)から(3)までと比較すると、学者の間で意見
  が異なる論点になります。例えば、10年間といった企業も消費者も構造的な問
  題を解決できるような長期間ならば、ここでいうような価格の下方硬直性とい
  った問題はなくなるはずですが、もっと短期的な問題、例えば、現在の失業や
  不景気の問題を考える上ではやはりこの価格の下方硬直性という問題は非常に
  重要になってくるでしょう。
  
  参考リンク:「ミクロ経済学ノート」の市場メカニズムの部分
  http://sun.s15.xrea.com/lecture/lecmicro01.html#marketmech
  
  ○次回は、この政府と市場メカニズムの関係についてお話ししたいと思います。
  
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     ◆◇  便利なサイト情報
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    このメールマガジンでは、主として経済にかかわるサイトやそれ以外でも便
  利なサイトやソフトウエアなどを毎回紹介していきます。

    今回は、「野口悠紀雄Online」です。青山学院大学大学院の野口悠紀雄教授
  のサイトは、特に経済関係の知的生産の補助となるべく運営されているサイト
  で、特に有用なのは「インターネット情報源」です。これは、従来書籍の購入
  者しか利用できませんでしたが無料開放されました。インターネットやPCその
  ものに関する分野には少々弱いですが、総じていえば他の追従を許さないリン
  ク集だと思います。他にも、サーチエンジン一覧やリファレンスルームなどが
  充実しています。また、多くの連載コラムは経済学の原理に基づいて社会に考
  察が加えられているものが多く、こちらも(メールマガジンの書き手としても)
  参考になります。
  
    野口教授は大蔵省(現:財務省)出身ながら、その考え方とはまったくかか
  わりなく、独立した立場から経済や社会に関する提言を続けておられます。大
  蔵省出身者は普通、退官後も省に対する帰属意識が強いのですが、自分の所属
  する組織に左右されず、しっかりとした言論を続けていらっしゃる態度は、私
  たちも見習いたいものです。
  
    ところで、お気づきになったでしょうか、実は「ビジネスの武器としての経
  済学入門」のサイトの構成は、このサイトに大きな影響を受けて作ったもので
  す。いつかは追いつくぞ!の意気込みでやっています。
   
  参考リンク:「野口悠紀雄Online」 http://www.noguchi.co.jp/
  
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     ◆◇  編集後記-「ほっと一息」
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    今回生まれて初めてインターネット上で大勢の皆さん向けに文章を書きまし
  た。ちょっと考えるとホームページも似たようなものですが、緊張の度合いが
  違います。

   そもそもメールマガジンというものは皆さんのメールボックスに直接届くこ
  とを前提としたものですから、まかりまちがうとよその家に土足でずかずかと
  上がりこむような無礼なメールになりかねないからです。
    
    ともあれ、ようやく創刊準備号を書き終えました。後は、皆様の判断を待つ
  ばかりです。よろしければ今後ともお付き合いください。それではまた近いう
  ちにお会いしましょう。

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     ◇本メールマガジンは週一回、毎週月曜日発行です。
     ◆発行者 管理人 Sun:suns15xreacom@clubaa.com
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