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「経済学はビジネスの武器だ」 Vol.6 平成15(2003)年2月17日
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◆◇『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない4』◆◇
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◆◇ もくじ
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□ まぐまぐで新作マガジン中3位になりました。
□ 『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない』第4回
□ おしらせ&編集後記
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┏━━┓ 皆さんから、いろいろなご意見や励ましをいただいています。
┃\/┃ 大変ありがとうございます。お便りお待ちしています。
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2月7日の「ウィークリーまぐまぐ」で、「新作メールマガジン発行部
数ベスト10@コミュニティ」の3位になりました。これも皆様のアドバ
イスやはげましのメールのお陰です。どうもありがとうございました。
また、こちらをご覧になってお申し込みいただいた皆さんも大勢おいで
いただきました。本当にありがとうございます。
これからも、お申し込みいただいた皆さんの期待を裏切らないように誌
面を充実させてまいります。よろしくご愛読お願いいたします。
管理人Sun
平成15(2003)年2月17日
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◆◇ 『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない』第4回
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○これまでのあらすじ
これまで、米国と日本の財政赤字の状況を比較して、まず米国の状況に
ついて考えました。一言でいえば、海外に向けて国債を販売している米国
にとっては財政赤字は極めて大きな問題で日本の経済にも大きな悪影響が
出る可能性があるということでした。
また、日本の財政赤字についても、財務省の言うとおり国債の発行額な
どの数字でみれば厳しいものです。が、日本の国債はそのほとんどが国内
で消化されているため、米国の場合とは異なり、大変な問題は引き起こさ
ないこと、そして現実に、日本の国債はプロの間でも極めて人気がある商
品だということをご説明してきました。
○国債はバブルではないか?
しかし、ここで気になるのは、この国債の人気がバブル期の株や土地の
ような裏づけのないものではないかということです。
確かに、これもまた詳しくは別の機会でお話しますが、株式や土地のよ
うに、保存も利いて、しかも人に譲り渡すことが簡単にできるという性質
を持つものの売り買いには、我々がバブル期に観たのと同じメカニズムが
働きます。
一言で言えば、手に入れてからも、腐ったり悪くなったりせずに商品価
値が落ちず、また、市場が整備されていて転売が簡単にできる品物の場合
で、しかも、売れれば売れるほどその結果市場で取り引きされる価格が高
くなる場合、つまり土地や株式などの場合には、高値が高値を呼ぶという
バブルのメカニズムが働きます。
普通の品物の場合には、その品物の値段が高くなればなるほど買い手が
少なくなるのですが、つまり、普通の品物とは市場メカニズムの働き方が
違うのです。
しかも、1980年代後半から90年代はじめまでの地価のバブルで我々が経
験したように、ちょっとのショックで暴落し、しかもいったん暴落したら
半永久的に元に戻らない可能性があるのです。原理的に暴落の可能性が常
に付きまとうのです。
しかし、国債には原理的にバブルは生じません。なぜなら国債には償還
期限という、国がその国債を払い戻す期日が明確に設定されているからで
す。
例えば10年後に5万円+利息で償還されることが決められている国債は、
どう考えても10年後にそれ以上の金額を手に入れることはできません。
ところが、土地や株式は違います。償還期限のようなものがありません
から、人気があればいくらでもその値段は上がっていきますし、逆に、株
などではよくあることですが、倒産などで人気がなくなれば紙くず同然の
価値になることもしばしばです。
このように、現在の国債の人気はいわゆるバブルに基づいているわけで
はありません。
○財政の経済安定化機能
国債の人気がバブルではないとはいっても、もちろんある日突然日本人
が国債に(というよりも無能な政府に)愛想を尽かす可能性もないわけで
はないですし、また国の財政投融資のシステムが大きな変更を受けること
も考えられます。
私もこのまま財政赤字を放置すべきだと考えているのではありません。
多額の国債残高はないに越したことはありません。
しかし、財政の運営は、景気の変動を最小限にするために、不況期には
財政赤字、そして好況期には財政黒字(つまり、政府の支出よりも国民か
らとる税金の方が多い状態)と切り替えて運用することが望ましいとされ
ています。これを財政の経済安定化機能と呼びます。
その理由は、皆が品物を買いまくって景気が過熱してインフレが起きそ
うな時期には、政府がそれ以前より公共投資などの支出を減らすことで、
品物への需要を抑えて景気の過熱を防ぎ、一方、逆に誰も品物を買おうせ
ず失業が起こってしまう不況期には政府がかわりに品物を買うこと(具体
的には公共投資のことです)によって景気の下支えができるからです。(
もちろん現実には政治的な関係で好況期に国の支出を減らすことはほぼ不
可能ではあります。)
○赤字対策よりも景気対策
この財政の役割や、構造改革の結果、今後生じるであろう出来事を考慮
に入れると、政府としても不況や、金融機関の不良債権処理で引き起こさ
れる企業の倒産や失業を放っておくわけにはいきません。
不良債権の処理を万難を排して断固進め、淘汰されるべき企業には退場
してもらうべきだと考える方々も、倒産の結果生まれる失業者を何らかの
形で助ける必要がないとは思ってはいないでしょう。
つまり、今の不況の下では、例えデフレ脱出の効果がさほど大きくなく
とも、失業対策、起業支援などのための政府の支出が必要であり、その財
源として国債の発行が必要であるというのが私の考えです。
(ただし、ここで言っている「不況対策」とは、失業した個人に対する直
接間接の救済のための政策のことで、ダム建設、河川工事や港の整備など
の公共事業を積み増すべきだと考えているわけではまったくありません。
このあたりのお話はまた後日じっくりとしましょう。)
○省益あって国益なし
つまり、平成15年2月という現時点では、財政赤字を減らすという財政
再建の問題は、失業者救済などの政策などの政策課題と比較すれば、政府
全体からみると政策としての重要性が低いと考えます。
いいかえれば、私には、この不況の下ですらなんでも財政再建第一主義
の行き過ぎた『財政赤字悪者論』を支持することだけはできないのです。
なぜなら、それは日本経済全体をみた議論ではないからです。まさに「省
益あって国益なし」という状態そのものだからです。
次回は、財政赤字の状況について財務省(旧・大蔵省)の主張を取り上
げてみます。果たして、彼らは我々の考えに対してどのように反論するの
でしょうか。
○参考リンク
財務省ホームページ「財政赤字の問題点」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014/sy014n.htm
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お┃し┃ら┃せ┃
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さて、本メールマガジンの兄弟版、経済やビジネス関係の時事用語を手
短かに説明する用語集メールマガジン『あなたも3分間でエコノミスト!
』についてのお知らせです。「不良債権」、「道路特定財源」と取り上げ
てきましたが、今週発行の第三号では、「デフレスパイラル」を取り上げ
ます。
今回の不況で最大の問題となる「デフレ」、その不況への影響のメカニ
ズムを手短かに説明します。簡単に結論を申しますと、「デフレ自体には
財政政策ではどうにもならない」と思っております。それでもなぜ私が財
政出動が必要だと主張しているのかといいますと、それは今回の本誌でご
説明したとおりです。
こちらでご紹介しておりますので、
http://sun.s15.xrea.com/mm/termsmag2.html
よろしければご覧になってください。以上、恐縮ですがおしらせでした。
▽ ▽ ▽
編┃集┃後┃記┃
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土曜日に、某県ご在住の公務員の方から、ご質問のメールをいただきま
した。
国債の発行についてのお尋ねなのですが、日本国内で国債が消化されて
いるということは、家庭内の貸し借りと同じだということを前提としたお
尋ねで、
『「同じ身内から借りたのだから、返済期限とかはあまり気にしなくて
いい。」ということであれば、「政府が国債という形で国民から借金をし
ているのは自転車操業で返していけばいい」ということなのでしょうか?。
つまり「毎年の予算で借金は返していくけれどもそれを上回る?借金もし
ていく」ということで良いということなのでしょうか?。』
というご質問でした。これはとても鋭いご質問です。皆さんならどうお
考えですか?
ということで、こちらのご質問には、今の財政赤字の問題に関するお話
しが一段落してから、じっくりとお答えしたいと思います。ご質問をくだ
さった某県にお勤めの公務員さん、どうもありがとうございました。どう
かもうしばらくお待ちください。
前回、本誌の一回の長さが長すぎないかと皆さんにお尋ねしましたとこ
ろ、多くのメールを頂戴しました。いただいたメールではほとんどの皆さ
んが論理的に書いてあるならば長さは関係ないといったご意見でした。
論理的に書いてあるなら、というのはなかなか厳しいご指摘で、背筋を
正して向かわなければなりませんが、ご意見を踏まえて、以前とほとんど
同様の長さにいたしましたが、いかがでしょうか。また、ご意見をいただ
いた皆様には大変感謝いたします。ありがとうございました。
こういった長さ以外につきましてもご意見ご希望などありましたらお気
軽に、
suns15xreacom@clubaa.com
か、あるいは、ホームページの掲示板までご意見いただければ大変ありが
たいです。皆様のご意見、ご希望、ご質問はできる限り誌面に反映させて
いただきます。
それではまた、次回にお目に掛ります。
▽ ▽ ▽
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◇本メールマガジンは週一回、毎週月曜日発行です。
ご意見、ご希望、ご質問はできる限り誌面に反映いたします。
◇次回は2月24日発行予定です。
◆発行者 管理人Sun: suns15xreacom@clubaa.com
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○総配信部数 2,671部 (前回比1,060部増。目標は3,000部です。)
大目標が手の届くところまでちかづいてきました。
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