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『あなたも3分間でエコノミスト!』Vol.9 平成15(2003)年 5月15日
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◆◇◆◇ 『ペイオフ解禁とは』 ◆◇◆◇
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◆定義:
破綻した金融機関からの預金払い戻し保証額を元本一千万円とその利息
にかぎること。
▽ ▽ ▽
「ペイオフ」が解禁になるということは、今までの、「預金を全額国が
保証していたシステム」から、「破綻した金融機関からの預金払い戻し保
証額が元本一千万円とその利息に限られるシステム」への変更を意味する。
言いかえると、「ペイオフをしない」とは、「預金者の預金を無制限に
保護する」ことで、これは本来小口の預金者を保護するための政策であり、
他の先進国にもあまり例がないものである。当初、平成15(2003)年3月
末に解禁される予定だったが、平成14(2002)年12月11日に平成17(2005)
年3月末までの解禁延期が決定された。
金融庁は、当初は、企業が主に利用している当座預金などの利子のつか
ない決済用預金口座だけは全額保護し、その一方で普通預金などのペイオ
フ解禁を5ヶ月だけ延期する方針だった。これは金融システムがペイオフ
解禁の悪影響で不安定になることを恐れたものだったが、この金融庁案で
は、金融機関に厳しい経営を求め競争力のある健全な金融機関を育成する
という本来のペイオフ解禁の方針と食い違ってしまう。
財務省は、平成13(2003)年個人向け国債を発行し始めた。これはペイ
オフ解禁をにらんで、銀行預金からより安全な国債への資金の移動を見込
んだものであろうし、さらには金融庁を通さずに銀行への直接の影響力を
確保するための政治的な動きかもしれない。
一方、日銀は、ペイオフは早期に解禁すべしという態度を福井総裁の発
言などにより明確に表明している。福井氏は5月2日付産経新聞朝刊で「
ペイオフ解禁が凍結された現状では、金融問題が新しいステップに進むこ
とは難しい。ペイオフは解禁すべきだった。」 と述べている。
預金の全額保護を続けるということは、裏を返せば、競争力の弱い銀行
の経営を維持するために税金を注ぎ込む保証をし続けることでもあり、金
融業界全体のモラルハザードを招く恐れが強い。そのためペイオフの解禁
はいずれの日にかは必要だが、金融システムや預金者へのしわ寄せが生じ
ないタイミングを計ることが難しい。
▽ ▽ ▽
◆一行サマリー
金融機関のモラルハザードと預金者の保護のバランスをいかにとるのか
が問題だ。
▽ ▽ ▽
○参考リンク
http://www.saveinfo.or.jp/kinyu/yoho/yoho.html
金融広報中央委員会『預金保険制度・ペイオフ』
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20030502/NAIS-0502-01-03-30.html
福井総裁発言「ペイオフ解禁の凍結で金融改革に遅れ」
お┃し┃ら┃せ┃
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福井総裁の率いる日銀の、デフレに対する政策に関しては、私は厳しい
評価しかしておりませんが、その福井総裁もペイオフ解禁の延期には反対
をしています。
なお、私の福井日銀総裁に関する評価については、私が発行しておりま
す別のメールマガジン「経済学はビジネスの武器だ」のバックナンバー
『日銀総裁選びに見る官庁の力学』
http://sun.s15.xrea.com/mm/arc/mm008.html
「個人向け国債」については
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