デフレスパイラル
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「デフレスパイラル」の定義

将来、品物の値段が下がると考えられる(デフレ)場合、同じ品物を今買わずに値段が下がってから買った方が得だと消費者は考え、買うことを先延ばしにする。インフレの場合には逆に、値上がり前の今買っておこうとする。 ところが、景気が悪いときにデフレになることがほとんどなので、皆が将来の値下がりを予想して買い控えると、ますます景気は悪くなってしまう。この悪い予想が、さらに悪い予想を呼ぶ悪循環をデフレスパイラルと呼ぶ。

解説(現実の経済での意義と経済学的な裏付け)

「デフレスパイラル」とは、物価下落と実体経済の縮小とが相互作用(スパイラル)的に進行することである。すなわち、(1)物価下落によって企業の売上が減少する、(2)賃金などが短期的には下方硬直的であるため企業収益が滅少する、(3)企業行動が慎重化し設備や雇用の調整が行われる、(4)設備投資や個人消費などの需要の下落が物価下落につながる、という悪循環が生じることを意味している。

通常の景気悪化のメカニズムには、在庫が積み上がれば価格メカニズムが緩慢にではあっても(例えば1年から2年かかっても)働き、最終的には、工場などの稼働率の調整から在庫調整が進み、下がりきった価格が上がり、次第に生産側の利潤が上がるようになるという循環的な景気回復のメカニズムが含まれる。

しかし、デフレスパイラルにはこのような自立的な回復のメカニズムは(原理的には)含まれていない。つまり放っておけばデフレスパイラルの状態から脱することができるというわけではないということである。

現在の日本が、この「デフレスパイラル」の状況にあるかどうかについては、論者によって意見が異なる。しかし、いずれにしても、このデフレスパイラルが現実的な危険性を持って語られていることは確かである。このことは、日本の景気という、マクロ経済学の取り扱う現象に関して、人々の「期待」がいかに現実の経済を左右するかを雄弁に示した例である。

なぜなら現在の日本は、依然として技術力、労働力の質などの(品物を生産する側という意味での)供給側の条件において優れているが、需要側である消費者の期待が、このようなデフレスパイラルを現実のものとしかねない。もちろん最近の日本経済の苦境の原因はデフレスパイラルを予想する消費者の期待といった需要側のものだけではないが、いかにして消費者の期待形成に働きかけるかが政策に問われている。

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