「現代日本経済論」近代経済学と環境問題
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「現代日本経済論」レジュメ(最終回講義)
12.12.16
教科書第11章「地球環境時代の人・政府・企業」、終章「資源循環型の成熟社会へ」
1.「近代経済学は環境問題に無力か?」
・このような問いが、特に、マルクス経済学者、市民活動家など非近代経済学の立場に立つ人々からしばしばなされるが、それは完全な誤りである。
・環境問題は外部経済の問題として捉えられる。その結果、市場メカニズムを補完する、または利用して環境問題を解決するアプローチがある。⇒経済的手段による環境対策

2.外部不経済と公害(P.511)
(1)外部経済とは何か
・公害などのある種の財サービスについては、それに関連した便益や費用を市場の中に取り込むことができずに、結果的に第三者の生産活動などに影響を与えることがある。プラスの効果がある場合には外部経済と呼び、マイナスの効果があるときには外部不経済と呼ぶ。
・具体的な例を挙げると、煤煙をあげる「公害工場」と、洗濯物を外に干しているために煤煙で洗濯物が汚れて迷惑をしている「洗濯屋」の関係があげられる。
(専門的には、「私的費用と社会的費用が乖離する場合が、外部経済(プラス、マイナスを含んだ概念)がある。」という。)

(2)理論的な対応策
i)外部不経済がある場合には課税し、逆に、外部経済がある場合には補助金(言い換えればマイナスの税金)を支給することによって打ち消すことができる。
・具体的には、外部不経済をもたらしている煤煙工場に課税する。(洗濯屋に、外部経済があるわけでないので、洗濯屋に補助金を与えてはいけない。)
⇒ただし、どのくらい課税し、また、補助金を与えるのか、具体的な金額を正確に求めることは難しい。

ii)外部経済を内部化してしまう。
工場と洗濯屋が合併してしまう。すると、その新会社にとって、工場から今までどおり煤煙を出すことは洗濯業分野から得る利潤が減るので、その会社にとって煤煙を出さなくする工夫をすることが経済的な観点から合理的となる。
このような内部化政策をとった場合、環境コストをあくまで外部費用とみなし内部化することを拒否する企業に対しては、環境ダンピング税とでもいうべき税を課すことが考えられる。これは、このような企業をそのまま放置した場合、公害対策を行わずその費用分だけ安価に財・サービスを提供できるため、他の内部化政策をとった企業に比べ競争力が強くなってしまうためである。

3.経済的手段による環境対策(P.514)
公害防止対策は従来は、法律などによる罰則を中心とした規制的手段(ムチによる政策)が中心であったが、現在では、市場機構を活用する手段(飴による政策)が注目を集めている。
高度成長期の「公害問題」は、その発生源、責任者も容易に突き止めることができ、また、その地域も限定されていることが多かった。そのため、法律による罰則の適用が比較的容易であった。しかし、今後問題となる、オゾン層破壊、二酸化炭素の排出による地球温暖化などの新しい「地球的環境問題」は、一国の国境を越えてその被害が及ぶ。また、因果関係を特定することが難しく、国際間での罰則の適用は不可能であり、また、罰則に頼るのでは手遅れとなる。そのため、予防的措置が必要となる。このために有望なのは価格機構を利用する手段のみである。
先に述べた非近代経済学の立場から近代経済学を批判する人々の多くは、規制的手段の採用を考えているが、これはまったく無効である。

OECDの分類による5つの経済的手段
 必ずしも経済的手段ではないものも含まれている。
(1)税及び課徴金
炭素税:二酸化炭素を排出する量に応じて化石燃料の消費に対して税金をかけるもの。
税収を上げることが目的ではなく、化石燃料の消費を制限することが目的である。
⇒炭素1トンあたり2から3万円の課税とすると、ガソリン価格は1割強の課税となる。

(2)売買可能排出権
 二酸化炭素を排出することができる上限の分量を決め、その分量を売り買いする。
 同じ品目を生産する場合でも、二酸化炭素を多く排出する企業はその分だけ費用が高くなり、結果的に、公害対策の進んだ会社あるいは国家は安価に生産でき、有利となる。

(3)預託金払い戻し制度
 リサイクル促進のため、ビール瓶などで代表されるように、製品の購入時に預託金を徴収するなどする制度。

最後に;
(1)日本的な社会の伝統的特質
終身雇用や年功序列賃金は、第二次大戦中に一般化したものであり、日本の伝統的な社会原理ではない。 しかし、日本の中にある実力重視、平等主義(無階級性)は、世界的に見ても、東アジア的に見ても珍しい特質である。

(2)なぜ、このような特質を持つようになったのか?
・村上泰亮:鎌倉時代からの東国武士団の組織が、非血縁的であり、業績志向的な性質を持っていた。これをイエ型社会と呼び、従来からの公家を中心とした社会と異なり、明治維新の社会変動の後の日本社会のひな形となった。。
・山本七平:鎌倉時代の北條泰時が編纂した御成敗式目(貞永式目)と一揆的集団主義。

(3)日本の社会は今後どうなるのか?
・堺屋太一:地縁、血縁の社会から、趣味やボランティアなどによってつながれる好縁社会へ

 一年間大変ありがとうございました。自分なりに全力を尽くしてきましたが、なかなか理想的な講義というわけにはいきませんでした。しかし、この講義が、皆さんの今後の人生に役立つことを期待しています。
(終)


日本型経営
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Last Updated 24 December 2002