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ビジネスの武器としての経済学入門 > 講義ノート目次> はじめに |
「現代日本経済論」レジュメ(第1回講義使用)12.4.151.講義の目的
・就職する際の面接等に役立つ経済の知識を身につける。具体的には、新聞の経済欄に書いてあることを理解できるようにしたい。
・講義に出席することによって、試験前に詰め込み勉強をするよりも時間をかけることなく教科書「ゼミナール日本経済入門」をマスターする。
2.講義の進め方
・教科書「ゼミナール日本経済入門」日本経済新聞社発行に基づいて進める。毎年新版が発行されているので、最新版を使用する。他には、「経済辞典第3版」有斐閣、中谷巌「入門マクロ経済学第4版」日本評論社を随時参照する。
・できる限り、実際の経済の動きを材料に講義を行う。また、詳細な経済理論については、他の先生方の講義に譲る。
・A4サイズで2枚から4枚程度のレジュメを毎回配布する。欠席した分のレジュメについては友人に借りるなどしてほしい。
・次回から、出席調査の代わりに記名式のアンケートを行う。質問などに積極的に利用してほしい。また、講義内容や講義の方法などについても要望を受け付ける。また、電子メールでも随時受け付ける。なお、どのような質問、要望を出しても成績評価には一切関係ないので安心して自由に書いてほしい。
・毎回、講義のはじめ10分程度は、前回のアンケートへ記入してもらった質問に答える時間としたい。
・公務の関係で休講となる場合もあるので掲示には注意しておいてほしい。
3.評価方法
・夏休みにはレポートの課題がある。その課題は、まとめることによって直接就職などに役立つものにしたい。夏休み明けに提出してもらう。もちろん、レポートの採点の結果は試験の成績にプラスされる。夏休みのレポートを提出しなかった場合でも、後期の試験を受験できるが、できる限り提出してほしい。
・前期には試験を行わず、後期にのみ試験を行う予定。また、出席点も重視する。試験で残念ながら不本意な成績であった場合でも、きちんと出席をした者には単位を与える。
U.現代日本経済を見る視点
以下のような変化が、我が国経済に大きな影響を与えている。
(1)人口構成の変化
少子化、高齢化が進み、多くの老齢世代を少ない現役世代で面倒を見なければならない時代がついにやってくる。その場合、従来の人口構成を前提として設計されていた政府による年金、福祉、医療などの制度は確実に変更を余儀なくされる。また、同時に企業側の制度でも、年功賃金、長期雇用、企業内教育(On the Job Training: OJT)等によって特徴づけられる日本的雇用の制度を変えなければならなくなる。
(2)資金の移動の大きな影響
アジア通貨危機、ロシア危機、ブラジル危機と最近は、新興市場諸国(Emerging market)における、国外からの投資資金に係る問題が頻発している。この投資資金は、現地で工場を作るなどする長期資金ではなく、株式、債券などに投資している投機を目的とした短期資金であり、これらの危機の原因は、これらの投機的な資金が、ほんのちょっとした風評で直ぐに逃げてしまうことにある。このような資金の急激な移動は、その資金の受入国の経済に大きな被害をもたらす。
(3)政府と民間の役割分担の見直しの必要性
先進国に対する追いつき型近代化の終了により、先進国モデルを輸入する必要がなくなり、同時に政府が指導的な役割を果たす必要がなくなってきた。また、昨今の大蔵省、日銀、通産省、厚生省の相次ぐ不祥事に見られるように政府に対する民間の信頼が揺らいできている。この二つの理由により政府の民間との関わりの在り方の見直しが求められている。
(4)旧社会主義国からの安い労働力の「輸出」
ソ連東欧などの旧社会主義体制が崩壊し、また、中国が更に市場経済に傾斜を強めている。これらにより、従来は体制間の壁によって、旧西側諸国には流れてこなかった低廉な労働力が、輸出産品という形に変わって我が国に流入してきている。同時にこれらは、技術的優位性ではなく、値段の安さに頼っていたアジア経済の不振の大きな原因となっている。これらのアジア諸国は我が国の有力な輸出先であり、また、競争相手でもあるため、我が国の最近の経済状況にも影響が大きい。
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