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「現代日本経済論」レジュメ(第14回講義使用)12.11.11教科書第7章「国際経済と日本の貿易」P.272
U.理論
1.比較生産費の理論(P.305)
・生産費の構造が異なれば貿易が行われる
・絶対的な生産費の格差とは無関係
・貿易で所得が増える
2.なぜ生産費の構造が異なるのか
(1)へクシャーとオリーンの研究:「比較優位、劣位を決めるのに大きな役割を果たすのは、労働、資本、土地などの基本的生産要素の賦存量である。」
(2)規模の経済:電力などのように大きな固定資本を必要なものにおいては、生産コストに占める固定費用の割合が高くなる。すると、生産量が多くなればなるほど、製品一単位あたりの固定費用が低下し、平均生産費用も低下する。これを規模の経済と呼ぶ。
規模の経済がある技術分野においては、進んだ技術の開発にいち早く成功した国が圧倒的に有利となる。
技術開発力も、規模の経済も、各国の産業政策に大きな影響を受ける分野である。
V.統計
・国際収支
経常収支:商品とサービスの対外取引を総括したもの。
貿易収支:貿易による収支。
貿易外収支:運輸、海外旅行などの収支。また、投資の収益の受け取りもここに入る
・「国際収支の天井」
潜在成長力が大きくても、国際収支に余力がない(=すぐに貿易赤字等になってしまうこと)ことにより、実際の成長が潜在的成長よりも低く押さえられてしまうことをさす。
国内で景気が良くなると消費も増え、それに伴って輸入も増える。ところが輸出は国内の景気が良くなったからといって伸びるものではない。すると、輸入が増えて、輸出は増えないとすると外貨準備高が減少する(物を買うために決算のために使われるドルを払いつづける一方で、輸出が多くないのでドルを受け取れないため。)。必需品まで入手できなくなると経済が混乱するので、そういう状況に至る前に景気引き締め策を取ることになる。
日本が技術的に国際競争力をつけるまでは、輸出競争力は十分でなかったため、この「天井」が景気の拡大を終わらせてきた。この現象は昭和40年代のいざなぎ景気に至って初めて終わった。
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